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前期修了に思う

 新しい時代「令和」になって初めての前期が修了します。子どもたち全員が個別の指導計画に沿って順調に学習を積み上げているということを、まずもって嬉しく思います。ご理解とご協力をいただいた保護者の皆さん、関係の皆さんに感謝申し上げます。
 子どもたちの通信表をみると、様々な教科や領域における固有のねらいとともに、教具・教材へのアプローチの様子、指導する教師との関係、一緒に学習する友だちとの関係、日常生活の中の課題等々、学校生活におけるありとあらゆる視点からみた子どもたちの様子が書かれています。教科ごとにも分かれていますし、自立活動などでは活動の分野ごとにも分かれています。細かい一つの目標に対してどうだったか、という評価です。この細かい評価もひとつひとつを積み上げていくと子どもの全体像として立体的になってきます。それをさらに深く見ていくと、子どもたちが過去から現在、そして将来・未来に向かって、よりよく生きていくための「中心的課題」が見え隠れしてきます。この「中心的課題」をがっちりクリヤしたとしたら、教科の学習だけでなく毎日の生活にも、また例えば趣味や娯楽の世界にも活かすことができる場合もあります。なんだかワクワクしてきますが、はっきりしない部分も多々あります。
 今年度本校では、この一人一人の子どもたちの「中心的課題」を明確にして、それを全体で共有し、しっかりと引き継いでいこうという取組を行っています。1年間でまとまらないかもしれないプロジェクトですが、さらにより良い指導につなげるために地道な取り組みを行っている最中です。前期の通信表はこのプロジェクトの中間評価であるといえます。ここから子どもたちの「中心的課題」が見えてくるでしょうか?個々の教師の力量とともに教師集団の力量が問われます。

 さて、全く話を変えますが・・・。
 私事で恐縮ですが、ちょうど昨年、この前期終了のあと私は体調を崩して入院してしまいました。突発性難聴です。右耳が全く聴こえなくなってしまったのです。あれからちょうど1年になります。
 当初は目が回って、体を起こしていることができず、2週間にわたり病院のベッドで臥せっていました。また、片耳なので音がする方向を定位することができずにいました。さらに、相手の話し始めの言葉が聴き取りにくいため、「何?」と聴き返すことがとても多くなりました。このような状態になって、私の身体や人格全体で、今までになかったことが起こっていました。右耳が聴こえないことで、左耳で一生懸命聴こうとするので左の肩こりがひどくなってしまいました。そればかりか、右からの視覚情報を自らシャットアウトしようとしていた自分がいました。右側が見えるにもかかわらず右を見ようとしないのです。聴覚情報が入らないことで視覚情報も「ない!」と自分で勝手に決めつけていたのです。これはまさに無意識のうちに起った二次的な障害なのだなと感じました。家族に対しても「こうしてくれそうなものだ」と、求めることが多くなりました。復帰した当初は車の運転ができなかったので、家内に送ってもらっていましたが、自分の中に様々な苛立ちや葛藤があり、精神的に健康な状況ではなく、この状況を理解しきれない家族とは様々な衝突がありました。さらに周りの人に「何?」と聴きかえすことが億劫になり、内容がわかっていないのに笑って過ごすことも多くなりました。

 「これではいけない」と思いました。確かに自分にとっての不快感はぬぐえませんが、今までできたことができなくなったことはありません。(上手くできなくなったことはありますが・・・。)それならそこに水準を変更して取り組めばよい、と少しずつ思えるようになりました。そう思えるようになったのは、私が置かれている状況を理解しようとしてくれている人たちが周りにこんない沢山いたと分かったからでした。有難いことだなと心底思いました。
 現在も右耳の聴力は回復せず、ふらつくことも未だにありますが、それでも1年経ってよくここまで回復したなと思います。毎日毎日一生懸命学習に取り組む子どもたち、温かく見守ってくれる保護者の皆さん、熱意あふれる教職員たち、聞こえにくくてもしつこく話しかけてくれる家族等々、様々な人たちに支えられてきたと改めて実感し、恩返しをしなくてはと思う日々であります。

 7月末に行われた関肢Pの山梨大会は、関わった全ての人たちの成功させようという高い意識のもと、様々な創意工夫、アイディア、豊富なイメージ、、協働、そして何よりも「お・も・て・な・し」の心に支えられて、成功裏に終えることができました。みんなの気持ちが同じ方向に向くというのはこういうことなのでしょうね。力を結集することができました。来たる後期の学習もあけぼの祭への取組から始まります。そこここに今年のテーマにも挙げられた「和」が見られると思います。後期も頑張りたいと心から思います。


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秘密兵器Ⅱ(全校集会より)

 先週の水曜日に第1回の全校集会が開催されました。
 児童生徒会本部役員さんたちが入念な計画と準備のもと楽しい会を催してくれました。児童生徒会会長の「新しくあけぼの支援学校に来た友だちと仲良く」「学部を越えて」というキーワードのもと、楽しい活動が展開されました 今年の児童生徒会本部は、役員それぞれが主体性をもって自分たちで運営していくという確固たる意気込みのもと活動が展開されています。自分たちで考え、自分たちで動き、自分たちで振り返る、このような取組は子どもたちにとって現在から将来、そして未来に向けてとても大切な経験となります。今日の活動のあちこちにもそんな姿勢が満ち溢れていました。しっかりと役割分担がされ、周到な準備のもとスムーズに会が運営されていました。何よりも、一人一人の役員が会を盛り上げようという気持ちがそこここに表れていました。掛け声一つをとっても、満面の笑顔と明るく張りのある透き通った声でした。その掛け声に会場もどんどん盛り上がっていきました。10月に予定されているあるあけぼの祭でも彼らの主体的な活動が大きく期待されるところです。

 さて、昨年の全校集会はボール集め大会でした。どうすればたくさんのボールを集められるのか、様々な形の秘密兵器が使われました。バケツ型、ハンガー型、ちりとり型、虫取り網型、ガムテープ型等々面白いものがたくさん使われていました。(校長ブログ2018年5月17日号を参照)今年の活動は「ジャンケン列車」でしたので、ジャンケンを楽しくスムーズに行うための様々な秘密兵器が登場しました。

 これは「選択型」のジャンケングッズです。子どもたちがこの中から一つを選んで相手と対戦します。一枚の紙にグーチョキパーが描いてあるものやペープサートのように一つずつ分離しているものなどいろいろあります。

次は「サイコロ型」です。6つの面にグーチョキパーが2つずつ描いてあり、そのサイコロを投げたり手や顔で下に落としたりして選ぶタイプのものです。これは「後出し」にならないのでジャンケンの公平性が保たれます。

 これは最新のジャンケンソフトです。「ICT型」とします。ipadにタッチすることによりルーレットが回転してグーチョキパーが示されます。「サイコロ型」の現代版とでも言えましょうか。

 最後に今回初めて見た秘密兵器を紹介します。どのようなタイプかしばし考えましたがいい名前が浮かばないので「爆発型」と命名します。基本的には上記の「選択型」の仲間になるのかもしれませんが、「ジャンケンポン」と出した時にスポンジの反発力により思わぬところへ飛んでいくのが、さらに驚きと面白さを示してくれます。Mさんが使っていたことも躍動感や意外性を増幅していたのかもしれません。

 かくして、このような秘密兵器を駆使して行われたジャンケン列車は、最後には一つの円になるという最高の結果となり、本部役員のみなさんのねらいが見事に達成されたひとときでありました。次の集会ではどんな企画がされ、またどんな秘密兵器が登場するのか本当に楽しみです。


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修学旅行記(中学部Bグループ)

 中学部Bグループの修学旅行に行ってきました。医療的ケアを必要とする生徒、アレルギー対応の生徒を含む8人の生徒に、教員10名、養護教諭1名、医師1名、学校看護師2名、そして保護者4名が帯同し、添乗員、運転手を1名ずつを擁する大旅行団でした。2台のリフト付き大型バスに分乗し、旅行団は快晴の韮崎を出発したのでした。

 子どもたちはいつもの朝と違うことを十分に感じ取っていました。自分たちが乗っているバスの大きさ、リフトの音や振動、見送りのギャラリーの多さ、お母さんたちとの別れ・・・、出発時のバスの中での彼らはとても緊張していました。

 Tさんはいつもより1.2倍くらいの大きさで目を見開き、周囲の景色や様子を見ていました。担任の先生から「瞬きをしてください」と言われるほどでした。



 Aさんはバスの傾きに逆らって首を左右に動かし、窓の外の青い空や緑の山々を見上げていました。



 Kさんは気分はいいのですが、緊張のあまり心拍数やSpO2が不安定になり、お母さんの支援を受けていました。



 予定通りに宿舎の「朱白」に到着して昼食をとり、「世界の切り絵、ガラス、オルゴール美術館」へ出かけました。ビーナスラインをひた走り白樺湖に向かって登って行きました。

 美術館はこの旅のメインイベントの一つでした。天井まで届く大きな切り絵は影絵のようになっていて、建物の中は暗く後ろから照明を当てているので、彩が素晴らしくまた壮大なものでした。この切り絵に生徒たちは圧倒されていました。Nさん、Yさん、Mさんはこの壮大な切り絵を食い入るように見上げていました。Sさんはいつものように横目でしっかり見ていました。まるで大きな絵を睨みつけるようでした。(笑)









 また世界の珍しいオルゴールがたくさんありましたが、時間が決まっていて音を聞くことができませんでした。しかし1台だけ、お金を入れると鳴るオルゴールがあり、これをみんなで聴きました。流れる「星に願いを」のメロディーを聴きながらなんとも穏やかなぜいたくな気持ちになりました。



 宿舎に到着して早速お風呂に入りました。Sさん、Tさんは貸切風呂の露天風呂に入ってご満悦。Tさんはお風呂で大はしゃぎ(大さ○ぎ)でした。Sさんは輿石先生にドライヤーをかけてもらい、そのあとアイスキャンディーも食べていました。女性のお風呂のことはあまり詳しく聞けなかったのでよく知りません・・・。





 活動の合間にはお母さんと水入らずの時間もありました。Nさん、Aさんは久しぶりのお母さんとの時間で、一緒に写真を撮ったりお母さんから愛情あふれる丁寧な吸引をしてもらったりと、麗しい時間を過ごすことができました。

 みんな疲れたのか割と早めに寝入ったようですが、一人だけなかなか眠れず、結局1時間しか眠れなかった人がいたとのこと。K.Sさんです。いつもと違うことを人一倍感じていたのでしょうね。でも翌朝、SさんやMさんと一緒に朝食をパクパク食べて元気そうだったので安心しました。

 二日目はあいにくの雨、儀象堂さんへは行けませんでしたが、前日美術館で購入した影絵キットをゆったりと作りました。それでもまだ時間があったのでみんなで歌を歌いました。「マリーゴールド」や「パプリカ」など今歌っている好きな歌をギター伴奏で歌いましたが、Yさんは「暴れん坊将軍のテーマ」をリクエストしてご機嫌でした。



 梅雨に入り、帰りのバスは雨の中でしたが、大きく調子を崩す人もなく予定よりも少し早く学校に到着しました。無事に帰ってこられて本当に良かった。

 一泊二日、長いようで短く、短いようで長い時間でしたが、まぎれもなく充実していました。「~ができたね」「~に行けたね」「~と話せたね」「~が食べられたね」etc.etc. いろんなことが達成できた旅だったと思います。そして何よりも「みんなと一緒に泊まれたね」と言える修学旅行だったと思います。私個人としては、荷物を運んだり必要なものを部屋に届けたりと、裏方の仕事ができたかなと思います。また、持って行ったギターでみんなで歌う時間があったことはよかったです。さらに、Sさん、Mさん、Tさんが私のスプーンからごちそうを食べてくれたことがとてもうれしかったです。

 この旅行に行くためには、計画段階から様々なハードルがありましたが、実に様々な人々の多方面からの支援、そして粘り強い計画と綿密な準備、それらがなかったらこの旅行はできなかった。



言い換えればそれがあったからこそこの旅行ができたのだと思います。今無事に帰ってくることができ感慨無量です。改めて元気に過ごしてくれた子どもたち、そして子どもたちを支えてくださった方々に心から感謝したいと思います。本当にありがとうございました。



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学習の「前」と「後」

 新しい元号「令和」になり、そして10連休も終わり、それぞれの学習活動も本格化してきました。この間、小学部、中学部Aグループの修学旅行、児童生徒総会、高等部第Ⅰ期現場実習など、各学部の大きな学校行事が行われました。

 この二つの修学旅行は一人の欠席者もなく、また天候にも恵まれ素晴らしい旅行となりました。いろいろな目的地を訪ねる中で、また宿舎で友達や先生と一夜を過ごす中で、学校ではできない様々なことを体験してきたようです。小学部では、いつもと違う環境の中で夜一睡もしなかった児童もいたそうです。中学部Aグループでは、事前に「自分のことは自分でする」という目標を立ててそれを完遂できたとのことでした。それぞれ自分たちの目標を明確に立て、それに向かって様々な取組を積み上げてきました。来月実施される中学部Bグループの修学旅行もそんな機会であってほしいです。


 15日には児童生徒会総会がありました。名取遥輝会長のもと、今年度の基本方針や活動計画が明らかになりました。執行部の活躍もさることながら、会員たちから実にたくさんの様々な意見が出され、議長さんが処理するのに困るほどでした。自分たちの学校を良くしていこうという意欲がみなぎっていた素晴らしい会でした。

 20日からは、高等部の現場実習が二週間にわたって始まりました。本日終了します。実習先を巡回して、生徒たちの様々な表情を見ることができました。どの生徒も学校にいる時とは違った緊張感をもって、目の前の活動や仕事に取り組んでいました。特に慣れない作業や仕事に取り組む生徒の緊張はとても顕著で、学校を離れていつもと違った環境に身を置いて活動する大変さを垣間見ることができました。


 さて・・・。
これらの大きな行事に対して、必ず「事前学習」と「事後学習」をします。学習に対して「見とおしをもつ」こと(事前学習)の重要性はずっと前から語られています。「見とおしをもつ」ことで子どもたちに主体性が生まれるからです。「事前学習」の重要性はこれが根拠です。

 一方「事前学習」とともに重要だと感じるのは「事後学習=振り返り」というものです。様々な行事や活動には成功や失敗があります。これを丁寧に「振り返る」ことがその後の学習に大きくつながるのです。成功した場合、しっかりと振り返ることにより成功体験が増幅されその後の自信につながります。失敗した場合、その原因を冷静に分析できれば、再発を防ぐこともできるでしょうし、「次はこうしてみたらどうか」という、その後の取組のモチベーションにもつながります。当日(山場)の結果は大切ですが、「前」と「後」をどうするかということがその学習活動全般の成否を決めるものだと思います。また「見とおし」と「振り返り」はどちらが大切かという疑問は不要であり、その内容によってバランスを変えていくことが大切なのだろうと思います。
そうはいっても学ぶ時間が無限にあるわけではありません。子どもたちにとって大切な時間になるよう私たちがバランスよく意図していくことが望まれます。

 さあ、令和元年6月。ギヤをさらに入れ替えて頑張ります!


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春の雪

 昨日は季節外れの雪が降りました。真冬に逆戻りでした。3号館のまえの桜の木は満開でしたので、桜の花の薄いピンクと白い雪のコントラスト、なんとも珍しい取り合わせでした。三日前に平成31年度の入学式を済ませ、新しい年が始まったところでした。学校の中もまだまだ落ち着かない中、雪の中のスクールバスの運行の心配をしたり、子どもたちの帰宅方法について各所に確認を取ったり、さらに今日から始まる給食が安全に済むかと気をもんだりと、バタバタと自分自身も落ち着かない一日でした。それにしてもつつがなく一日が終わりホッとしているところです。
今朝、前庭を歩いていたら、日陰には昨日の雪が残り、その先には太白桜(前校長寄贈、吉野さくらよりも遅い開花)、そのはるか向こうには富士山がたくさんの雪をいただきそびえ立っていました。何とも不思議な風景でした。


 平成31年度は新しい元号の発表とともに始まりました。このブログでも何度も言及していますが、入学式までの数日は、新しい時代の到来に何をすべきかを考える毎日でした。しかし、始業式や入学式でいざ子どもたちを迎えると、ああしてあげよう、こうしてあげたいというような、欲張りな意識が吹っ飛んで、子どもたちと一緒にいられることのシンプルな幸せに気づくことができました。入学式の中では小学部1年生の初々しく無邪気で濁りのない表情、中学部1年生の少し大人びた表情と一味違う緊張感を宿した面持ち、高等部1年生の自分を追求しようというみなぎる力と落ち着きがそこここに見られ、子どもたちはそれぞれに不安を抱きながらもこれから始まる学校生活に期待して入学してきてくれました。
 特に高等部1年生の「誓いの言葉」には高校生活に懸ける強い思いを感じました。何を学んでそれを今後の人生にどのように生かしていくのか、という命題に対して真っ向から向き合おうという気迫や勢いを見て取ることができました。
 では我々大人は?という自問がふつふつと沸き上がり、心がピーンと引き締まっていくのを感じました。私自身、昨年と同じことを同じようにしていたのではだめだと言い続けていますが、果たして変わろうとしているでしょうか。新しい環境に身を置くことが難しければ、新しい意識の中に自身の身を置き、違う視点を意識してみることでものごとの見方が変わり、取り組み方も変わるのであろうと思います。そして「やり切る」という強い気持ちがあればおのずと何かが変わってくるのだと思います。自ら変わろうとしている子どもたちの期待に応えなくてはいけないと強く思いました。

 入学式でのギター演奏はアンプの調子も悪く、昨年と変わらず下手な演奏になってしまいましたが、かえって子どもたちにとっては思い出になったのではないでしょうか。式中は、残念な演奏に心がへこんで立ち上がれないほどでしたが(笑)時間が経てばこんなものです。今年は何事にも前向きに、一味違った自分でいられるといいと思っています。子どもたちとともに自分も成長できるといいなと密かに思っています。今年もよろしくお願いします。


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PROFILE
佐田弘和 校長
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